フランスと日本の架け橋になりたい
日本で頑張るリアルワン君にニャパンがインタビューする
『Akadama FAN(Friends Actual Note)』。
第3弾~フランスからきたモクタさん
◆どうして日本にきたのですか?
1992年にパリで日本女性と恋に落ち、1997年に結婚して日本に移り住みました。元々、フランスでアートと骨董品を扱う仕事に携わっていて、日本の業者とやりとりするため、日本語学校へ3年間通い日本語をマスター! 先生達からは日本の社会、経済、歴史などたくさんのことを教えてもらいました。現在は、日本の古いブリキのおもちゃをフランスに持っていったり、フランスからは「レイモン・サヴィニャック」の作品を日本に持ってきたり、2カ国をアートで結ぶべく、ビジネスを幅広く展開しています。
◆日本へ興味を持ったきっかけは?
アニメ『UFOロボ・グレンダイザー』が日本との出会いです。これはマジガーゼットシリーズ第3弾で、スーパーヒーローが宇宙人と戦うストーリーで、70年代にフランスで大ブレイク!私も夢中になりました。エンディングに『終』と出てくるでしょ。なんだか不思議なマークだなと思っていて、それが日本の漢字だと知った時に、日本に興味が湧いたのを覚えています。私のようにアニメから日本へ憧れを抱くのは今も同じです。親戚の子供たちと話すと、それぞれの世代で「ドラえもん」「アンパンマン」「ワンピース」など、はまったアニメの話題にアツクなります。フランス語の吹き替えでは満足できず、YouTubeで日本語版を見る熱心なファンも多いですね。
◆フランスの方は日本にどんなイメージを持っていますか?
日本製品のクオリティの高さ、平和な国、深い歴史がある。この3点で高く評価されています。日本文化に興味を持っている人も多数いますが、なかなか触れる機会は少ないのが現状。今、パリは空前の寿司ブームで、寿司屋は3000店程あります。でもそのほとんどは中国人の経営なんですよ。本物のおいしい寿司を伝えに、日本職人の方に来てほしいです。そして、日本政府がスポンサーになって、フランス人が集まる百貨店や文化施設で日本文化の魅力をアピールするイベントをやるべきですね。伝統文化だけでなく若い才能も世界に発信しないともったいない!
◆日本に来て驚いたことはありますか?
20年前に来日した時から気になっているのは、仕事が第一主義のライフスタイル。ビジネスマンが電車でぐったりと寝ている姿は、パリで見かけません。「ストレスが強いのかな?」と心配になります。フランス人は仕事が終わると、すぐ帰宅して家族で食卓を囲みます。会話を楽しみながら食事をするので、家族の絆は自然と深まります。日本では「親父とはしゃべったことない」「他の家族のことはよく知らない」と言う方が多いですよね。仕事帰りに会社の仲間と飲みに行くのも普通のようですが、フランスで同じことをしていたら即離婚になっちゃいます。会社も仕事も大事ですが、そこで働いている人間をもっと大事にしないと、いつか会社は潰れてしまうのではないでしょうか。
◆日本の好きなところは?
日本人の「禅=ZEN」の精神です。心を動かされたのは、震災時の過酷な状況で、水道水をもらうために並んでいる姿。どんなに辛いことがあっても、冷静で和を重んじることができるメンタルの強さは素晴らしい。そんな日本の良さを客観的に認識するために、日本の若者はもっと海外に行くべきです。テレビでは海外のいいところしか取り上げませんから、実際に行って、待たされたり、だまされたり、多少は危ない目にあったりというリアルな体験は貴重です。私も日本に来て、フランスのよさや欠点を再発見することが多々ありますよ。
◆日本で困ったことはありますか?
旅行にお金がかかること。新幹線、高速道路は高いし、ホテルが少ないですね。家族を連れて出かけたくてもハイシーズンは満室……。パリでは近所のあちこち宿泊施設があり、選択肢が豊富。どんな小さな町でも「観光案内所(Office de tourisme)」の看板がすぐに目に入ってきます。インターネットがない時代でも、ドライブで新しい町にふらっと着いても、観光案内所に行けば、自分の希望にあったホテルを探してくれました。やはり、フランスは観光客を迎える体制が成熟しています。日本では、どこに相談に行けばいいかわかりにくいし、日本語を話せない旅行者にはよけいに難しいですね。
◆日本食で好きなものは?
日本食はなんでも好きですが、特に好きなのは焼き魚。パリでは魚が高く、新鮮なものがありません。海が遠いせいもあり、魚は肉より高級な食材。日本のスーパーでは、新鮮な魚がリーズナブルに手に入るので、フランスのマルシェに並ぶ魚を見ると「日本に帰って、新鮮な魚を食べたい!」と思います。
◆日本でオススメの観光スポットは?
フランスから友人が来ると、必ず連れて行くのは秋葉原。エレクトロニックとコミックをミックスしたパワーが溢れているので、大きなカルチャーショックが受けられます。後は、「中野ブロードウエイ」。いろいろな面白い店があって日本のサブカルチャーを満喫できるとよろこばれます。もちろん築地は必須!多種多様な新鮮な魚介類が並ぶ、世界で唯一の場所です。
◆フランスと日本の違いを感じる点は?
フランスはアーティスティック。フランスの小学校では週1度、美術館に生徒を連れて行きます。ルーブル美術館に行けば、いつも子どもがワイワイ。ピカソやモネの前に座り込んで一生懸命模写しています。アートが身近な環境で育つので感性は鋭くなり、自然を見るだけで感動します。自宅のガーデニングはもちろん町の雑草も手入れをし、目に映る世界を全てアートとしてとらえ手をかける感覚があります。これは長い歴史の中で遺伝子に組み込まれているものかもしれないですね。絵を購入するスタンスだって違います。日本では絵を買う習慣はないし、空いている壁に飾る絵を1枚買ったらおしまい。フランス人はアートをコレクションとして買います。季節ごとに飾る絵を替え、部屋を模様替えし楽しみます。最近は日本のマンションも絵を飾るスペースが増えてきたので、お気に入りの絵を見つけて飾ってみてください。それだけで、心が豊かになりますよ。サビニャックの明るい色彩のユーモアあふれるポスターはオススメです。
◆ニャパン後記◆
もう20年もアートを通して、フランスと日本を橋渡ししてきたパリジャンのモクタさん。堪能な日本語で、両国の文化的違いを的確に教えてくれました。何を隠そうニャパンは元オリーブ少女。フランスへの憧れはけっこう強いです(笑)。美意識の高いフランス人から日本文化が評価されている話はうれしい限り。日本の素晴らしい文化をもっと海外へ発信するために、Akadama Japanも頑張らねば。それにしても、マジンガーZシリーズの中で「グレンダイザー」が海外で高い評価を受けていることはニャパンも初耳。当時のテレビ放映では視聴率が平均75%ってすごすぎる。さすが、永井豪先生! 日本のアニメはもうずっと前から世界に影響を与えているんですね。
・モクターさんの所属するGuy Antique Gallery
アンティークのおもちゃ(ロボット、スペース、キャラクター、ブリキ玩具)
ビンテージポスター(サヴィニャック、他)の販売、買取をしています。
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