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ずっと憧れていた日本!運命の出会いで、私は日本人になりました。

日本で頑張るリアルワン君にニャパンがインタビューする『Akadama FAN(Friends Actual Note)』。

第5弾~ルーマニアからきたダニエラさん

◆どうして日本に来たのですか?

子供の頃、ルーマニアで日本のアニメや黒澤明監督の映画などを見て、日本に惹かれました。お茶の入れ方を家で真似し、独学で日本語の勉強も始めたんですが、当時、ルーマニア語の日本語辞書はなく、英和辞書の発音をカタカナに起こして、それをルーマニア語にして解読していました!16歳になって初めてルーマニア人の先生から日本語を学ぶ機会を得たのですが、その先生の日本語に感激しました。だって、サムライ映画ではみんな怒ったような口調で喋っていたから(笑)。その後、英語と日本語のツアーガイドの資格をとり、ルーマニアでバスツアーのガイドをするようになりました。日本は憧れの場所でしたが、当時のチャウシェスク政権下では簡単にパスポートを取得できず、日本に行くなんて考えもせず、そんな選択肢すらありませんでした。仕事でルーマニアと東ヨーロッパを回っていたジャーナリストが私にとって初めて出会った日本人。それが今の主人なんです。

◆日本に来た時の印象は?

出会いから数年後、日本に戻った彼の誘いで来日したのですが、日本に住めるのか、リアルに好きになれるのか不安でした。成田空港まで彼が車で迎えに来てくれ、その時に巨大なエスカレーターで運ばれる同じような顔をしたスーツ姿の軍団を生まれて初めて見て「ここは地球?それとも他の惑星?」と思いました。日本はまるで宇宙に見えたのです。高速道路で東京に向かう時、道の両側にあるアーチ型の壁を見てビックリ。車の騒音を防ぐ壁だと教えられ「ウワー、すごい国だ!」と。けれど、そのドライブ中、彼と話をしているうちに気持ちがとても落ち着き、我が家に戻ってきたような感覚になったのです。そして彼と結婚し、もう26年も日本に住んでいます。不思議ですよね。実は以前、霊能者に見てもらったところ、私は500年ほど前に東京・品川の魚屋さんの奥方だったと言われました。実際、魚は大好きで、私の魚の食べ方は猫も負けるほど!これは多分運命です。

◆日本とルーマニアの違いは?

ヨーロッパの人々は家族と一緒にいる時間を最優先しますが、日本人は家族のために仕事を優先します。愛情の示し方が違うのですね。家族のために朝早くから夜遅くまで頑張って働く。新婚当時は主人も同様でした。頑張るほど昇進し昇給する。その分しがらみや面倒なことが増えて本末末転倒……。私はたまらず「もう辞めて!」と懇願し、ルーマニアのワインや食材を輸入する会社を起業しました。並行して、私達はルーマニアを始めとした国際演劇祭に参加する劇団のコーディネーターの仕事に就き、日程を組み、ロジスティックスや舞台のセットアップ、通訳などに加え、劇団員の外国での健康にも気を配っていました。この仕事上で心配だったのは、外国では役者には代役がいないということ。そして彼らは舞台が終わるまではトップコンディションをキープしなければなりません。彼らの健康を保つ重大な責任を担い、私の持つ健康や栄養についての知識をフル活用しました。日本で5年過ごした中で蓄積した知識です。そんな時、自分自身の具合が悪くなり訪れた病院でニュアンスが通じないせいか、お医者さんに全く思いやりのない扱いを受け嫌な思いをしたのです。「もう二度と医者に行きたくない。そのためには病気にならなければいいんだ!」と決意。ルーマニアの母から届いたローフードの本がきっかけとなり、学びと実践の日々がはじまりました。その食生活で体重は落ち、ひどい生理痛が治り、頭痛や風邪と無縁になりましたが、ガリガリに痩せて、付き合いも悪くなったため友達もいなくなってしまったのです。そこで体調を整える健康と食の関係について興味を持ち、海外の学会やセミナーに熱心に参加するようになりました。そんな頃、アンチエイジングドクターの第一人者として知られる白澤卓二先生と出会い、順天堂大学大学院、医学研究科の協力研究員としてスカウトされ、2010年に研究室に加わりました。以来、食と健康について35冊の本を出版!英語の健康食についてのレシピ本はシンガポールやマレーシアなどでも出版されています。

◆日本食で好きな食べ物は?

懐石料理です。少しずつ多種多様な食材を食べられるところが良いですね。昔から使われている味噌、醤油、酢、すべて発酵食品です。微生物の力が体を守ってくれる日本食は魅力的。今は、無菌ばかりに気をとられ、逆にアレルギーが増えてきているのではないでしょうか。来日した当初より、ローフードや炭水化物の制限に関して一般的に理解してもらえるようになりましたね。「ルーマニアの主食はなんですか?」とよく質問を受けますが、ご飯を主食というのは日本だけで、実は主食という概念自体、近年のものなんです。ルーマニアではパンは主食とは言いません。懐石料理でも、お米は主食ではなく最後に少しだけ出てくるスタイルでしょ。野菜や豆、魚や肉をお米の前に食べることは、インシュリンレベルを低く保つためのとても健康的な食べ方です。お米が主食と考えられるようになったのは、明治時代に農家や庶民の政治的支持を得るため、お役人が当時は高価で、武士や上流階級の商人以外の庶民には手の届かなかった白いご飯を食べられるように活動をした中で「主食」という言葉を作ったそう。それまでは庶民は雑穀(粟、ヒエ)を食べていて、白米は主食ではありませんでした。米というのは日本人にとって歴史的にも文化的にもこだわり深い食なのですが、近年、1日3食ともお米を食べる人はあまりいないようです。特に朝食はパンがお米にとって変わったようですね。現代の日本人はお米が主食という考えはありながらも、これまで以上に欧米の食事を楽しんでいますね。

◆日本の好きなところは?

たくさんあります! 特にニュアンスを大事にするセンスが素晴らしいです。たとえば、「渋い」のに「味がある」という表現、最初は全くわかりませんでした。器を選ぶ時にも華やかな柄が美しいと思っていましたから。でも、料理日本食を乗せてみるとそれはやかましいだけ。「わびさび」を感じる器の方が料理は映えますよね。もちろん、お料理がシチューやチャーハン、麻婆豆腐なんかだと、もっと装飾されているお皿でも良いですよね。料理の見栄え/演出の邪魔をしないし、ほとんどの場合、食器の装飾はお料理に覆われていますから。ただ日本食がより素晴らしいのは、わびさびを感じるお皿に乗せると食材が生き生きとするんです。この微妙な感覚を理解するまでは時間がかかりました。それから日本人は茶道や華道などで芸術的な流儀を生み出しています。流派のやり方を完璧にこなし何百年も守ってきている。その勤勉さと伝統を守る精神。日本人はすごいな、と思う部分です。

◆文化や価値観の違いについては、どう思われましたか?

私は落語も大好きです。日本の伝統文化や社会的な価値観を学ぶことができるから。私の好きな演目に「薮入り」という噺があります。江戸時代、数年間奉公に出ている年若い子供が1日だけ実家に帰れる日「薮入り」、息子が帰って大よろこび喜びの両親は、まずは息子を銭湯に行かせます。そして息子がお風呂に入っている間、両親は彼のために、いくばくかのお金を息子のお財布に入れてあげようとするのですが、そこで金貨を3枚発見してしまうのです。息子の年齢では到底稼ぐことのできない大金。盗みを働いたのかと息子を疑い、父親は激怒、母親は心配を募らせるのですが、結局ネズミを捕まえて懸賞金を得たという事がわかり一件落着。最初はずっと笑って見ていたのですが、その後、もう一度見た時に涙がこぼれました。なぜなら、この噺は「Life,engagement ,employment」がコンセプトだとわかったからです。なぜ日本人が欧米社会に比べ、両親や家族との関わりが少ないのかがわかったのです。理解しなくてはならないことは、昔の社会では子供たちが仕事のため実家から送り出され、雇い主とその家族とともに何年もの間、過ごしていたということ。家族は大事だけれど仕事や雇い主への献身が優先される。これが日本人の仕事に対する姿勢の原点なんじゃないかと、考え方の違いを理解しました。説明がつけば、異文化も認めることができます。ラーメンやお蕎麦をすする音もそう。主人と一緒にラーメンを食べた時に私はレンゲとお箸で上品に食べたのに、食べ終わった時にふと見ると私の周りや洋服は汚れているのに、彼は綺麗なまま。掃除機のように吸い込んで食べていたから、飛び散っていないのです!効率よく綺麗に食べる方法なのかと腑に落ちました。特に昔ながらの、小さなちゃぶ台だと家族がぎゅうぎゅうになって食べなくてはなりませんからね。

◆日本で驚いたことは?

地下鉄に乗った時、私が座ろうとしたら両横の人がよける仕草をしたこと。最初は差別されているの?と傷つきましたが、実は座るスペースを作ってくれていたんですね。今は私もやっています。また、ヨーロッパの人は電車で人の顔をじっと見て話しかけてくるのですが、日本人は目を合わせないようにしますよね。それに電車の中で、いい大人が漫画を堂々と読んでいたのも衝撃でした。女子高生の援助交際や、コンビニにポルノが置いてあって規制が緩いと感じます。そう、日本は最高に治安が良い国なのだから、子供をもっと守る環境を作るべきです。また、しょうがないことなのかもしれませんが、福島の原発問題の解決や対応が遅いことは気になります。地域の人、子供たちが犠牲になっている。この現状を認めて、もっと大手のメディアが真実を話し、より良い対策を考えるべきです。ロシアのチェルノブイリ原発の時、ルーマニアは近いので風の向きによって放射能が飛んでくるため、すべての市民にヨウ素が配られました。そして雨が数日降った時は徹底的に靴、洋服を洗い、出歩かないようにと告知が行き届いていました。日本の政府は何をしているのだろうと怒りを覚えます。

◆食を通して健康になるにはどうすればいいですか?

最初は厳密なローフード食が全てと思っていたのです。それが人間にとっての摂理だと思っていましたが今はちょっと変わりました。私の考えは治療として,慢性的な病気や肥満は検査の上、医師の指導の元であれば、ファスティングが1番。2番目に数ヶ月間のローフード、3番目には温野菜と骨からとったスープが有効だと思います。ですが、人種や環境によって遺伝子が違うので一概には言い切れません。私は20年間ベジタリアンでしたがドイツの先生に検査をしてもらった結果、肉を食べないといけない体質だということが判明しました。日本人やアジア圏の方のDNAにはやはり魚、お米、野菜があっているようです。一方、野菜、肉、乳製品はヨーロッパの人々に会っているし、厳密な菜食主義というのはジャングルに住むアフリカ人に会っているようです。これからも、アンチエイジングと食についての学びを積極的に情報発信し、日本人が健康で幸せになれるための一翼になれるように頑張ります!

◆ニャパン後記◆

ルーマニアといえば「コマネチ!」しか浮かばないニャパン。ダニエラさんは全国どこに行ってもルーマニア出身と言ったら100%そう言われるそうです。「日本にいるとアットホームな気分になれる」と話し、和食を愛するダニエラさんのアイデンティティはもはや日本人! アンチエイジング、ローフード、健康、長寿、デトックス、スーパーフードなど研究する料理研究家としてアクティブに活躍されている根底に「大好きな日本人のために役立ちたい!」という思いがあることにニャパンは強く心を打たれました。さすがに健康的で肌もツルツル。とてもチャーミングな方でした。

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